稽古納めで思ったこと

 今年は会員の皆さんの仕事の都合がつかない日が多く、なかなか稽古できない日が続いて、遠出したり合宿に参加してストレスを発散させて稽古できないイライラを我慢する一年でしたが、昨日は今年最後の稽古日で、急遽稽古と忘年会が出来ることになり何となく収まるところに収まって稽古が終わった感があります。

 さて、その稽古で少し一人稽古をする時間があり、素振りをしていてちょっと気づいたことがありました。
 真っ直ぐの太刀筋を稽古していたのですが、得物を木刀、袋竹刀、小太刀の木刀、小太刀の袋竹刀と変えながら稽古していると、一番簡単に振れるのは普通の木刀で、袋竹刀は案外難しい。小太刀は木刀も竹刀も更にうまく触れない気がする。この違いは何だろうと思いながら素振りをしていたのですが、どうやらその差は得物の全体の重さと重心の位置の違いから来ていたようです。
 重くて手元近くに重心がある方が振りやすい。中段に木刀、竹刀を構えたところからスイと振りかぶり手が揚がった瞬間留まることなくコトリと斬り収まるようにしたい。木刀はある程度重さがあり、少し手元に重心が寄っているので剣尖を意識しながら振っても比較的簡単に収まりますが、袋竹刀だと重心が先によっているので振り回される感覚があり難しい。小太刀だと、今度は竹刀も木刀も、軽くて手応えを感じにくい。
 稽古としては先端に重心のよったものに振り回されるのはまずはよろしくないでしょう。それよりは振り良い得物で素振りをするのがいい。ですが、小太刀のように軽く短い得物で素振りをするのは、難しいことですが、さらにいい稽古であるように思いました。
 手の内に得物の重みが収まるように、その重みに重心の移動が一致するように。
 そのためにはある程度の重みがあるものを振るよりも、より繊細な感覚が必要でしょう。軽いものの重さを活かす。軽いものを重く振る。そんな稽古がしたいです。
 では、皆さん、良いお年をお迎えください。